
「SNS見て来ました」
そんな声が、少しずつ増えてきました。
しかも近所のお客様だけではありません。県外から車で来る人や、2時間以上かけて島から来たお客様もいたそうです。
名古屋で生活雑貨店を営む船戸社長は、その変化をこう表現します。
船戸社長:
「SNSの一番の特徴って何かなと思ったら、商圏が消えることだなと思った。」
これまで小売店の集客は、半径数キロなどの「商圏」で決まっていました。でもSNSを始めてから、その感覚が少しずつ変わってきたといいます。
紙チラシ中心だった集客。反応は年々落ちていき、次の方法を探していた船戸社長。最初はSNSも半信半疑。それでも運用を続ける中で、来店の範囲とお客様との関係が変わっていきました。
今回は、名古屋の生活雑貨店で実際に起きた「商圏が消える」という変化についてお聞きしました。
事例サマリー
項目 | 内容 |
|---|---|
店舗名 | |
業種 | 生活雑貨・衣料品小売店(三代目) |
所在地 | 名古屋市 |
店舗規模 | 1店舗(約100坪) |
課題 | 紙チラシ中心の集客が右肩下がり衣料品の競合増加・ジリ貧の感覚SNSは半信半疑で未活用 |
支援内容 | SNS運用支援サービス「&マーケ」 |
成果(定量) | Instagramフォロワー:約200〜300 → 約4,800(約半年) |
成果(定性) | ・「SNS見て来ました」の来店が急増 |
お取り組み期間 | 2025/08/01〜現在 |
導入前の課題:20年続けたチラシの反応が、年々落ちていた
衣料品だけでは苦しい——集客の仕組みが壊れていく感覚
―― SNS運用を始める前は、どんな状況でしたか?
船戸社長:
「衣料品だけでは苦しい。ちょっとどんどんジリ貧で。」
船戸社長のお店は、おじいさまの代から続く三代目の生活雑貨店です。婦人・紳士衣料、タオル、肌着、靴下、ファンシーグッズなど、暮らしに必要な商品を幅広く扱ってきました。
集客の中心は、長年ずっと紙チラシ。新聞折込を20年近く続けてきましたが、新聞を取らない家庭が増え、紙媒体の反応は徐々に弱くなっていきます。インターネットで何でも買える時代に、実店舗だけでの戦い方に限界を感じていました。
導入のきっかけ:「腑に落ちた」瞬間が、意思決定を変えた
セミナーでは「ピンと来なかった」
―― ANDGIVEとの出会いと、最初の印象は?
船戸社長:
「数字だけでは全然実感がわからなくって。これはクルマヤさんだけの話だろうって思ってた。」
セミナーで他店の成功事例を聞いても、「自分の店でも起こること」とは思えなかったそうです。多くの小売店が感じる感覚と、まったく同じでした。
現場を見て、「うちでもできる」が見えた
船戸社長:
「初めてその店を見に行った時に思ったのが、あ、この要素はうちでも取り入れられるなって。この方向性だったらうちでもできるなと思って。」
他店の現場を実際に見て初めて、「すごい店の話」ではなく「自分の店でもできること」として見えた。その瞬間が転機でした。
「チラシを1回やめたら、動画に回せる」
船戸社長:
「紙チラシを月に3〜4回やってたの。一回につき仕入れ込みで20〜30万円ぐらい。それを一回やめたら、動画に回せるんですよ。」
「チラシをそのままにしてプラスアルファで払うっていうのは考えにない。でも、一回やめたらスポーンと入ると思って、そこではまった。」
SNSを「追加コスト」としてではなく、今の販促費の「置き換え」として考えた瞬間に、投資のイメージが現実になったそうです。
成果:来店数200%超・フォロワーは半年で約4,800人に
数字の変化
Instagramフォロワー | 約200〜300 → 約4,800(約半年) |
来店数 | 前年比 200%超(1月・2月) |
売上 | 前年比 150〜160% |
船戸社長:
「土日なんか本当に追っつかんのよ。だって。」
フォロワー数の変化について、船戸社長はこう話します。
船戸社長:
「フォロワー数って、自分の店のファンの数だなって思った。」
定性的な変化:「商圏が消える」という感覚
島から2時間以上かけて来た
船戸社長:
「SNSの一番の特徴って何かなと思ったら、商圏が消えること。今日なんか島から来たって言うんだわ。船で来て車で来て、2時間強あるところなんだよ。インスタよく出てくるから来ましたって言って。」
これまで想定していた商圏の外から、SNSを見てわざわざ来店するお客様が増えました。岐阜・愛知の離島など、遠方からの来店が日常になりつつあります。
「商品で買わない、この人のところで買いたいから来る」
船戸社長:
「商品で買わないよ。この人のところで買いたいと思うから来るとかって言って。」
今の小売は、商品の質や価格だけでは戦えない。SNSを通じてお店の人柄や雰囲気が伝わることで、「ここに行きたい」という動機が生まれる。その変化を、船戸社長は体感しています。
支援について:「金メダルを取った選手が、自分一人ではここまで来れなかったと言うのと一緒」
―― 一緒に走ってみて、どうでしたか?
船戸社長:
「金メダル取って表彰されるのはその選手達だけど、絶対周りに支えてる人間がおる。もうそれ抜きでは語れんじゃん。それと一緒だなと思う。」
「あの人にお尻叩いてもらっとるで、ここまで来れとるなとほんと思う。」
自分でやるだけでは続かない。適切に背中を押してくれる存在がいるから、成果につながる。船戸社長はそれを、オリンピックの金メダリストと支えるコーチの関係に例えて話してくれました。
同じ悩みを持つ店舗さんへ
―― 迷っている店舗さんへのアドバイスは?
船戸社長:
「ちょっとでもやりたいと思ったら、始めるべきかなとは思いますね。」
「今あるものにオンするとちょっときついのかな。何かをやめてこれに置き換えるっていうのはありだなと思う。そうするとハードルが下がる。」
「無理して自分が顔出しする必要もないし。その店に合ったやり方はある。」
SNSをやるかどうかではなく、自分の店に合う形でどう始めるか。そこが大事だと感じているそうです。
まとめ:「商圏が消える」——地方小売が変わるための本質
この事例の本質は、フォロワーが増えたことではありません。
「自分の店でもできる」と腑に落ちた瞬間から動き始めた店主が、来店・売上・お客様との関係性まで変えていった話です。
船戸社長:
「SNSの一番の特徴って、商圏が消えること。今まで来なかった人が来る。それがすごい。」
チラシ依存の集客から、「人で来てもらう集客」へ。地方の1店舗でも、この変化は起こりうる。船戸社長の事例は、それをリアルに示しています。

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